オンライン診療が普及し、自宅にいながら診察や薬の処方が受けられるようになりました。しかし、「オンライン診療では薬を何日分処方してもらえるのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、初診・再診それぞれの処方期間や処方できる薬の制限、薬の受け取り方法と注意点など、2025年最新の情報をわかりやすく解説します。
目次
オンライン診療で薬は何日分処方できる?
オンライン診療の処方日数にはルールがあります。特に初診時は、対面診療と比べて患者の詳しい情報が得られにくいため、処方日数が短めに設定されているのが特徴です。厚生労働省の指針でも、初診のオンライン診療では薬の処方を「7〜8日分以内」にとどめるよう促されています。
一方、慢性疾患で状態が安定している患者など、継続的な治療が必要な場合は再診でまとめて処方することが可能で、最大で1か月程度の処方が認められるケースが一般的です。対面診療と同様に、医師の判断で処方量は変わりますが、オンライン診療の場合はこのような上限が目安となります。
例えば、高血圧や糖尿病など持病がある患者さんがオンライン診療を利用する場合、過去の診療情報や服薬歴をもとに医師が安全と判断すれば、数週間から1か月分の薬が処方されることがあります。一方、風邪など急な症状で初めてオンライン診療を受ける場合は、症状の経過を見やすくするために1週間程度の処方となることが多いです。初診で長期間の薬を処方すると患者の体調変化に対応できないリスクがあるため、短期間でフォローアップを行うという考え方がとられています。
初診の場合:最長7日分程度
オンライン診療の初診では、原則として長い期間の薬は出せません。厚生労働省の指針に則り、初診時の処方期間は目安として「7日分まで」と言われています。これは、初回診療時は医師が患者の全身状態を十分に把握できていないため、過度な量の薬を出さないようにする安全対策です。実際、医療機関によっては6〜7日分程度の処方を上限としており、次回診療(再診)で追加の処方を行うケースが一般的です。
具体的には、例えば急に発熱やかゆみなどの症状が出た患者が初めてオンライン診療を受ける場合、医師はまず少量の投薬で様子を見ます。症状改善の手応えがあれば同様の薬を継続する形で処方され、必要に応じて来院も検討されます。一方、初診で1週間以上の大量処方は、患者さんの実際の症状や体質が不明確な状態では安全確保の面からも避けられます。このように初診時は、簡単な治療を短期間で行える分量にまとめるのが基本です。
再診の場合:通常1か月分まで
再診や継続的な治療が前提の場合、オンライン診療でも対面診療と同程度の処方が可能です。特に慢性疾患の患者さんは普段から決まった薬を継続しており、遠隔診療でも1か月分程度のまとめて処方が認められることが多いです。例えば、高血圧症や糖尿病で定期的に通院している患者がオンラインで診察を受ける場合、医師との信頼関係がある状態であれば30日分前後の処方を受けることがあります。対面診療と同様、必要な検査データや診療経過が十分に共有されていると判断されれば、処方薬の量は柔軟に設定されます。
ただし、再診であっても注意が必要です。薬の種類や患者さんの体調によっては短めの処方に留めるケースがあります。例えば、急性症状や新たな治療薬を試す場合は、医師がまず少量で効果や副作用を確認したいと判断することがあります。そのため、慢性疾患の再診であっても数週間単位で処方量を調整し、次回診察までの状況を見守ることがあります。オンライン診療でも、対面診療と同じく医師の判断で最適な処方量が決まりますが、原則として安定患者には最大30日分程度が一般的です。
慢性疾患と急性症状の患者で異なる処方
オンライン診療において処方日数は、患者さんの病状や背景によって違いが出ます。慢性疾患で病状が安定している場合は、医師が継続的な治療を前提にまとめて処方することが一般的です。例えば、生活習慣病の治療薬は安全データが蓄積されており、経過観察もしやすいため、オンラインであっても1か月分前後の処方が行われることがあります。
一方、急な症状でオンライン診療を受ける場合は短めの処方となることが多いです。例えば、風邪や頭痛など初めて症状が出た場合、新しい原因や薬への反応が不明なため、医師はまず1週間程度の投薬を行って経過を確認します。このように病状によって処方戦略が変わるため、慢性疾患の安定患者には長めの処方、急性症状の患者には短めの処方が組み合わせられます。
オンライン診療で処方できる薬と処方できない薬

オンライン診療ではすべての薬が処方できるわけではありません。厚生労働省のガイドラインでは、特に安全管理が必要な薬剤についてはオンライン処方を避けるよう示されています。具体的には、依存性の高い薬や効果・副作用の管理が厳格に求められる薬などが対象です。一方で、一般的な内服薬や軽度の症状に使う薬はオンラインでも処方されることが多く、初診・再診を問わず良好な管理下にあると判断されれば幅広い薬が利用可能です。
処方可能な薬の例としては、風邪薬、鎮痛解熱剤、抗アレルギー剤、胃腸薬、生活習慣病の薬(降圧薬、糖尿病治療薬など)があります。これらは比較的副作用リスクが低く、患者の背景情報が把握できればオンライン診療でも処方しやすい薬です。ただし、初診で原因が不明な感染症の抗生物質や、医療用漢方薬など、医師の慎重な診断が必要な薬についてはオンライン診療での処方に慎重になるケースもあります。
オンライン診療で処方可能な一般的な薬
オンライン診療では、対面診療と同様に多くの一般的な薬が処方できます。具体的には、風邪やかぜ対策のカゼ薬、頭痛薬、湿疹や皮膚炎に用いるステロイド外用薬・抗アレルギー薬など、日常的な軽度症状に対する薬はオンラインでも処方されることが多いです。また、高血圧・高脂血症・糖尿病といった生活習慣病治療薬も、状態が安定していればオンライン処方で続けられます。
さらに、常備薬としておなじみの胃腸薬、鎮痛解熱剤、ビタミンサプリメントなど、副作用のリスクが比較的低い薬はオンラインでも安全に投与できることが多いです。女性の場合、月経痛の緩和薬や漢方薬なども医師が適切と判断すれば処方されます。このように、日常的な症状を和らげる一般的な薬は、オンライン診療でも幅広く利用できるのが特徴です。
オンライン診療で処方できない薬の例
一方、オンライン診療で避けられている薬剤もあります。代表的なのは依存性が高い麻薬や向精神薬です。具体例としては、オピオイド系鎮痛薬(モルヒネなど強い痛み止め)、睡眠薬・抗不安薬・抗うつ薬といった精神に作用する薬が該当します。これらは医師と患者の信頼関係の下で継続的に管理する必要があるため、オンラインの初診では原則として処方できません。
また、がん治療に使う抗がん剤や、移植時に必要な免疫抑制剤、重篤なてんかんに使う抗てんかん薬、心臓病治療の一部で用いられる抗不整脈薬などもオンラインでは処方対象外です。これらは服用中の検査や副作用モニタリングが不可欠であり、オンライン診療では十分なフォローが難しいと判断されています。このほか、ED(勃起不全)治療薬も初診からオンラインでは基本的に処方しないことが推奨されています。
処方制限の背景と理由
これらの処方制限はすべて患者の安全のためです。オンライン診療は医師がカメラ越しに診察するため、対面で可能な触診や血圧測定などが行えず、得られる情報にどうしても限界があります。依存性の高い薬や副作用の大きい薬をインターネット経由で乱用されるリスクを避けるため、厚生労働省はガイドラインでこれらの薬を除外しています。
また、薬の大量処方や不適切な使い方による健康被害を防止する意図もあります。いずれにしても、オンライン診療は便利ですが、医療の安全確保を優先しなければならないという方針が根底にあります。
オンライン診療で薬を受け取る方法

オンライン診療で処方された薬は、受け取り方法にもいくつかの選択肢があります。基本的には「院内処方(医療機関から直接配送)」と「院外処方(外部薬局で受取)」の二つがあり、患者さんの希望や医療機関の体制によって使い分けられます。電子処方箋制度の普及により、対面診療と同様にオンライン診療でも電子データで処方箋が送られ、最寄りの薬局で薬を用意してもらう方法が一般的になってきています。
処方方法によってメリット・デメリットが異なります。例えば院内処方では、オンライン診療を行った医療機関が薬を調剤・保管しており、診療後に患者さんの自宅へ薬を配送します。患者さんは自宅で薬を受け取れるので移動の手間がありませんが、医療機関側にとっては調剤設備の維持や在庫管理、配送手続きなど手間とコストがかかる点が課題です。一方、院外処方では、医療機関が処方箋を薬局に送付し、薬の調剤は薬局側で行います。病院は調剤業務を薬局任せにできるため運営コストを抑えられますが、患者さんは指定の薬局まで薬を取りに行くか、薬局から自宅配送を依頼する必要があります。
| 項目 | 院内処方 | 院外処方 |
|---|---|---|
| 薬の受け渡し | 診療後に病院から自宅へ配送 | 希望する薬局で受取(薬局から配送も可能) |
| 医療機関の負担 | 在庫管理・調剤設備の維持が必要 | 薬局任せで調剤設備不要 |
| 患者の利便性 | 自宅で薬を受取れる | 薬局に出向く必要あり(配送も選択可) |
上の表のように、院内処方は患者さんの利便性が高い反面、医療機関の手間が増える仕組みです。対して院外処方は医療機関の負担が軽く医療体制を維持しやすいですが、患者さんは薬局に出向くか自宅配送を手配しなければなりません。それぞれの特徴を理解した上で、患者さんは自分に合った方法を医師や薬局と相談して選ぶと良いでしょう。
電子処方箋の活用法
近年、オンライン診療では「電子処方箋(でんししょほうせん)」の利用が広がっています。従来は医師が紙の処方箋を発行し、郵送やFAXで薬局に送る必要がありましたが、電子処方箋を使えばオンライン上で薬局にデータを送ることが可能です。患者さんはあらかじめスマートフォンアプリやクリニックから指定された薬局を登録しておけば、オンライン診療後に薬局側で薬が用意される仕組みです。オンライン薬局の中には、こうした電子処方箋に対応しており、オンラインで処方情報を共有することでスムーズに薬を受け取れる場合もあります。
電子処方箋を活用すれば、患者さんは処方箋用紙の到着を待つ必要がなくなり、診察日当日から薬を受け取れるケースも増えます。たとえ遠方でもスマホ一つで指定薬局に処方情報を送れるため、移動や郵送によるタイムロスを減らせるメリットがあります。ただし電子処方箋を扱える薬局は限られているため、利用するクリニックや薬局に事前確認し、対応状況を確認しておくことが重要です。
薬の宅配・郵送サービス
オンライン診療では、薬を自宅に配送してもらうサービスも利用できます。処方箋を受け取った薬局によっては、薬を無料または有料で自宅に発送してくれる場合があります。特に高齢者や体調不良で外出が難しい患者さんにとっては便利な仕組みです。配送サービスを利用する場合は、処方後に薬局から届け先(自宅など)を伝え、必要な手続きを進めます。
また、一部のオンライン診療システムでは診察と同時に薬の送付まで一括で依頼できるものもあります。これらのサービスでは、診察後に患者が希望する薬局へ処方箋を送信し、薬局が薬剤を調剤して自宅へ配送します。全国どこからでもオンライン診療と薬の受け取りを完結させられるようになり、新型コロナウイルス感染症以降、こうした仕組みを整備する医療機関や薬局が増加しています。
オンライン診療で薬を受け取る際の注意点
オンライン診療で処方される薬を受け取る際には、いくつか注意すべきポイントがあります。まず、オンライン診療を受けるときには本人確認が必須です。診察前にスマホやPCのカメラ越しに本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)を見せたり、登録した情報が正しいかを確認したりします。これは、患者と医師の間で安全かつ正確な診療を行うための重要なステップです。後から医療トラブルを防ぐためにも、本人確認の手続きには丁寧に対応しましょう。
次に、オンライン服薬指導に関するルールがあります。処方箋の備考欄にはオンライン服薬指導を希望する旨を記載し、薬種や投与法などを薬剤師と共有します。薬局側では希望に応じて電話やビデオ通話で服薬指導を行い、薬の正しい使い方や副作用の注意点を説明します。同時に、薬歴(アレルギーや服用中の他薬など)を伝えておくことで、薬剤師は薬剤の相互作用などリスクを確認した上で安全に薬を提供してくれます。オンライン診療だからこそ、薬局との情報連携をしっかり行うことが重要です。
まとめ

オンライン診療における薬の処方は、初診では目安として7日分程度、再診・継続治療では最大30日分程度が基本になります。また、依存性や副作用が強い薬はオンラインでの処方対象外となる場合があります。薬の受け取りについては、院内処方(医療機関から配送)と院外処方(薬局で調剤)のいずれかを選択でき、電子処方箋や宅配サービスの活用で利便性が向上しています。オンライン診療を安全に活用するには、本人確認やオンライン服薬指導への対応、薬剤師への情報提供などのルールを守ることが大切です。
これらを押さえた上で、患者さんは自宅のパソコンやスマホから手軽に必要な処方を受け取ることができます。