献血看護師が職場を辞めたい理由とその解決策

献血看護師として働いている方のなかには、仕事内容や待遇にギャップを感じて「辞めたい」と思う人もいます。病棟勤務とはまったく異なり、採血業務が中心で夜勤はなく日勤のみの反面、土日や祝日の出勤が多いなど、生活リズムに影響する面もあります。

本記事では、2025年最新の情報をもとに献血看護師の仕事の特徴や待遇面を解説し、辞めたくなる主な理由とその対処法を考えます。

献血看護師が辞めたいと感じる理由

献血看護師は献血バスや献血ルームで主に採血業務を行いますが、病棟看護師とは全く異なる仕事のため、入職後にミスマッチを感じやすい職種です。以下のような点で不満が募り、「辞めたい」と考える人がいます。

仕事内容の単調さ・専門性へのギャップ

献血看護師は病棟での多様な看護技術を行う機会が少なく、問診や血液検査、採血など献血に関連する業務が中心です。日々の仕事がルーチンワークになりやすく、手技も採血に特化するため、病棟経験者は「看護師としての成長が感じられない」「自分のスキルが活かせない」と感じることがあります。

採血業務のプレッシャー

献血では針が通常より太く献血量も多いため、採血技術には高度な慎重さが求められます。また献血中や直後の体調変化（めまいや貧血）に対処する責任も看護師にあります。「失敗はできない」という緊張感が常にあり、採血に慣れない人や不安がある人にとっては精神的な負担になります。急な献血者の体調変化の際には迅速な対応が必要で、その責任の重さを感じて辞めたいと思うケースも少なくありません。

勤務場所・配属形態の違い

献血看護師は主に献血バス（移動献血車）か献血ルーム（常設施設）のいずれかに配属されます。献血バスの場合、出張先でイベント形式の献血会場を運営し、車の準備や移動が伴い体力的負担があります。一方、献血ルームでは同じ場所で働くため搬送作業は少ないものの、日々の業務に変化が乏しく感じることもあります。希望に沿わない配属になった場合、「移動やイベント対応が思ったより大変」「ルームは単調と感じる」などの不満が生じることがあります。

キャリア・スキルの成長機会が限定的

献血看護師は献血者が基本的に健康な方であり、緊急対応や高度な医療処置はほとんどありません。そのため、病棟看護師のような幅広い知識や技術を身につける機会が少なくなります。将来的に救急や外来、訪問看護など別分野に移りたい人にとっては「この仕事だけでは学びが足りない」と感じることがあり、キャリアアップの観点から離職を考える原因になります。

給与・待遇面への不満

夜勤手当がない日勤のみの勤務形態のため、献血看護師の給与水準は病棟看護師より低いのが一般的です。例えば、献血看護師の月給相場は約22万～25万円、年収に換算すると賞与込みで約340万～370万円といわれており、看護師全体の平均年収（約500万円前後）と比べると低めです。これによって「働き方に納得して転職したのに、思った以上に収入が下がった」といった不満を持つ人もいます。一方で、福利厚生（通勤手当・住宅手当・退職金など）は赤十字社の基準で整っていますが、給与面のギャップに悩む人も少なくありません。

休日勤務と生活リズムの変化

献血看護師は日勤ですが、献血活動が盛んな土日祝日の出勤が多くなります。家族や友人と過ごしたい週末に働く必要があるため、プライベートとの両立が難しく感じる人もいます。特に子育て中の方や土日休みを希望していた方は、「休みのリズムが変わり過ぎて辛い」と思うことがあります。

職場の人間関係の悩み

献血会場は小規模なチームで業務を行うため、スタッフ同士の距離が近くなりがちです。仲間同士のコミュニケーションが円滑であれば良いですが、相性が合わない人がいるとストレスになります。また、長時間を共有して働くことも多く、狭い献血バス車内での共同作業などでは人間関係の煩わしさを強く感じることもあります。こうした対人ストレスから「職場がしんどい」と感じる看護師もいます。

献血看護師の仕事内容と職場環境

献血看護師は日本赤十字社に所属し、献血バスや献血ルームで献血業務を担います。一般の看護師と異なる勤務形態や業務内容について整理しておきましょう。

採血バスと献血ルームの違い

献血バック（採血バス）はイベント会場まで移動し、車内で採血業務を行います。朝早くから出発し、機材の積み下ろし作業もあり体力を使います。一方、献血ルームでは施設内に固定された環境で働きます。場所の準備や移動が少ないため体力的負担は軽いものの、業務がルーチンになりやすい面があります。

具体的な業務内容

献血看護師の基本的な流れは、来場者の問診票を確認し血圧・脈拍などの検査、適格であれば献血用針で採血、終了後に休息してもらう、というものです。また献血前後には血圧測定、体調確認のために採血器具の準備・後片付け、献血ルームの消毒と清掃、血液の取り扱い（保存・分別）など事務的作業もあります。採血中の異常（失神など）発生時は、応急対応して献血者の安全を守ります。

シフトと勤務時間

日勤主体の勤務形態で、基本的に朝から夕方の時間帯です。夜勤がないメリットがある一方で、献血活動が活発な土日祝日はほぼシフトに組まれます。月に数回は平日休みがありますが、平日にまとめて休むというよりは週末を挟んで土日どちらかは必ず勤務というパターンになります。連休を取りにくい点は、一般的な企業・病院と比べると障壁となりえます。

待遇・給料・休日の実態とワークライフバランス

献血看護師の待遇面では、日勤のみで夜勤手当がない分、給与水準は低めです。その代わり福利厚生は安定しており、ワークライフバランスの取りやすさや体への負担軽減が得られます。以下で詳しく見ていきましょう。

給与・手当・賞与

献血看護師の月給目安は22万～25万円程度とされ、年収は賞与込みで約340万～370万円が相場です。看護師全体の平均年収が約500万円前後なので、病棟勤務と比べると約100万円低い水準になります。ボーナスは年2回（合計3～4ヶ月分程度）が多いです。地域手当や住居手当、通勤手当などは赤十字社の基準に準じて支給されます。給与が下がる場合でも、夜勤や大きな残業がない分をプラスと捉えられるか、生活設計で折り合いをつけられるかがポイントとなります。

残業・休暇の状況

献血看護師は業務が計画的に行われるため、残業は比較的少ないのが特徴です。イベントの予定や予約献血が中心で、急な患者対応やオペのような不規則な残業はほとんどありません。ただし献血会場の設営や撤収、予想以上に献血が長引く場合に数時間残業することもあります。目立った長時間労働は少ないため、プライベートの時間は確保しやすい傾向があります。

休日事情とプライベートとの両立

日勤だけとはいえ土日祝日の勤務が不可避なため、家庭や友人との予定が合いにくくなるデメリットがあります。例えば「運動会や行楽には必ず取材がある」といったケースが生じ得ます。しかし、平日に休みが取りやすい点もあります。子育て支援のために保育園のお迎えに間に合うような勤務時間帯を相談しやすい施設も増えています。夜勤がない分、家庭のリズムは整えやすいという利点もあります。

献血看護師のメリットとデメリット

ここまでの特徴を整理すると、献血看護師には以下のような利点と注意点があります。

メリット：夜勤なし・福利厚生の安定

• 夜勤がなく生活リズムが安定する
• 残業が少なく体力的・精神的負担が軽い
• 日本赤十字社という大組織による福利厚生・教育制度がある
• 公的使命感のある仕事で社会貢献が実感できる

これらに魅力を感じる看護師にとって、献血看護師はやりがいと働きやすさを両立できる職場です。勤務先である赤十字は退職金や社内研修が充実しており、長期的に安定して働けます。

デメリット：看護技術・キャリアの幅が狭まる

• 専門が採血・献血業務に限られるため、臨床経験が積みにくい
• 年収が病棟看護師より低めで、将来の資産設計に影響
• 土日出勤が多く、休みの取り方が制約される
• 少人数チームで人間関係に悩むこともある

献血看護師の仕事は看護師の範囲を超えて接客業に近い部分もあり、「コミュニケーションが得意」「安定を優先したい」人には向いていますが、急性期や専門性を重視する場合は物足りなさがあります。

辞めたいと感じたときの対処法と今後の展望

「献血看護師を辞めたい」という気持ちが強いときは、まず現状を客観的に整理しましょう。以下のポイントを参考に、次のステップを考えてみてください。

現在の職場のメリットを再確認する

日勤のみで夜勤がない点や福利厚生の充実など、今の職場で得ているメリットを書き出してみましょう。「残業が少なく家庭と両立できる」「公的機関で安定勤務できる」など、ポジティブな面に目を向けることで、心の負担が軽くなる場合があります。

他の働き方と比較して視野を広げる

病棟勤務や訪問看護、外来勤務など、他の看護職の働き方を調べてみてください。実際に職場見学や勤務経験を通して「病棟には夜勤と不規則勤務」「外来は緊急対応少ない」などを比較すると、自分にとってのメリット・デメリットが理解しやすくなります。自分の希望と照らし合わせて、どの方向が自分に合う働き方か判断します。

上司や同僚に相談し環境改善を図る

一人で抱え込まず、信頼できる仲間や上司に相談しましょう。勤務シフトの希望を出したり、配属異動の可能性を聞いたり、業務負担の再分担を相談することで、状況が改善する場合があります。また人間関係の悩みなら、配置転換など組織内のサポートを得られることもあります。

転職支援サービスを活用する

すぐに辞める決断はせず、まず情報収集から始めてもよいでしょう。看護師の転職エージェントや求人サイトを利用して、非公開求人も含む選択肢を探します。新しい職場探しは悩みの整理にもなりますし、自分に合う求人が見つかれば、安心して次のステップに進めます。

退職・キャリアチェンジを計画する

最終的に転職を決めた場合は、スケジュールを立てて計画的に動きましょう。退職時期や貯蓄についても逆算して準備します。資格のアップデートや研修を始めると即戦力となり、次の職場でのスタートがスムーズです。焦らず余裕をもって動くことで、後悔のないキャリアを築けます。

まとめ

献血看護師は、「夜勤なし」「社会貢献度が高い」など独自の魅力がある反面、業務が限定的で給与水準が低い、土日出勤が多いなどの特徴があります。辞めたいと感じたときは、まずは職場の良い点を見直し、他の選択肢と比較してから判断しましょう。相談できる相手や転職サービスを活用しつつ、じっくり考えることが大切です。

この記事が、献血看護師として働くかどうか迷っている方や、職場環境を改善したい方の参考になれば幸いです。