夜勤や人手不足、責任の重さなどから、心身の不調で働き続けることがつらくなる看護師は少なくありません。
無理を重ねて取り返しのつかない状態になる前に、診断書をもらって休職という選択肢をとることは、決して甘えではなく専門職としての自己管理でもあります。
この記事では、看護師が診断書をもらって休職する流れ、上司への伝え方、休職中の給料や傷病手当金、復職までのポイントを、最新の制度を踏まえて分かりやすく解説します。
目次
看護師 診断書 休職の基本:まず知っておきたい考え方と全体像
看護師が診断書を提出して休職する場面は、主にメンタル不調や慢性的な疲労、持病の悪化、妊娠出産に伴う体調変化などが中心です。
医療現場では「多少つらくても頑張るのが普通」という雰囲気が残っていることも多く、限界まで我慢してから受診する方も珍しくありません。
しかし、患者さんの安全を守るためにも、看護師自身の心身の状態を適切に整えることは非常に重要です。
診断書は、医師が「就労制限が必要」「一定期間の休業が望ましい」と判断した内容を文書で示すものです。
この診断書をもとに、勤務先は就業制限や休職の可否、期間、配置転換などを検討します。
一方で、診断書があれば自動的に休職が認められるわけではなく、就業規則や労働契約、病院の人員状況なども加味されますので、事前に全体の流れを理解しておくことが大切です。
看護師が診断書を必要とする主なケース
診断書が必要になる代表的なケースは、心の不調と体の不調の二つに大きく分かれます。
心の不調では、うつ病、不安障害、適応障害、バーンアウト、睡眠障害などが挙げられます。
夜勤や長時間労働、感情労働が重なり、感情が枯渇したり、出勤が怖くなったり、ミスが増えて自信を失ったりする状態です。
体の不調としては、腰痛や頚肩腕症候群などの整形外科疾患、持病の悪化、手術や治療が必要な疾病、妊娠中の切迫流産や切迫早産などがあります。
これらはいずれも、無理して働き続けると症状が悪化し、長期離脱につながる可能性が高いため、医師の管理下で一時的に離職・休職することが推奨されるケースです。
診断書があると何が変わるのか
口頭での「体調が悪い」「メンタルがつらい」といった訴えだけでは、職場としても対応の線引きが難しくなります。
診断書があれば、医師という第三者の専門的な評価が示されるため、勤務先は就業制限や休職、配置転換などを正式に検討しやすくなります。
また、傷病手当金の申請や、長期休職後の復職支援など、公的・社内制度を利用する際にも診断書が重要な根拠になります。
一方で、診断書の内容に基づき「この業務は避けるべき」「夜勤は不可」「フルタイム勤務は困難」などが記載されると、職場のシフト調整にも直接影響が出ます。
そのため、診断書の文言は医師と相談しながら、現実的かつ自分の状態に合った内容にしてもらうことが重要です。
休職と有給休暇・欠勤の違い
看護師が仕事を休む方法には、有給休暇、欠勤、そして休職があります。
有給休暇は労働基準法で保障された賃金が支払われる休みで、医師の診断書が不要なケースも多く、比較的短期の休みに用いられます。
欠勤は有給が足りない場合などに使われ、原則として賃金支払いはありませんが、短期間なら診断書がなくても認められることがあります。
一方「休職」は、社内規程にもとづく長期的な休みの制度で、数カ月から1年程度を上限として設けられていることが一般的です。
休職中の給与は無給か一部支給が多く、健康保険の傷病手当金で生活を補うケースが多くなります。
休職を開始するには、ほとんどの職場で診断書の提出が必須となるため、仕組みの違いを理解しておきましょう。
診断書をもらう前に確認すべきこと

診断書を取得し休職を申し出る前に、いくつか確認しておくべきポイントがあります。
これを行わずに動き出すと、せっかく診断書をもらっても「規程に合わない」「手続きがやり直しになる」といったトラブルにつながることがあります。
特に、就業規則の休職条項と健康保険の加入状況、シフト体制への影響などは、事前に押さえておくと安心です。
また、自分の体調がどの程度仕事に影響しているのかを整理しておくと、診療の場面でも医師に状況を正確に伝えやすくなります。
夜勤の回数、睡眠時間、食欲や体重変化、仕事中のミスの増加、涙もろさや意欲低下の有無などをメモにまとめると、診断内容もより正確になる傾向があります。
就業規則・休職規程のチェック
まずは、勤務先の就業規則や人事制度の資料を確認し、病気休職に関する条項を読み込んでおきましょう。
多くの医療機関では、「欠勤が連続何日以上、または合計何日以上で休職扱い」「休職期間の上限」「休職中の給与や賞与の取り扱い」「復職時の手続き」などが定められています。
これらを把握しておくことで、どのタイミングで診断書を提出し、どれくらいの期間を目安に休むのかをイメージしやすくなります。
また、休職期間中に社会保険料がどのように扱われるかも確認が必要です。
無給期間でも、健康保険や厚生年金の保険料は原則として発生し、後日まとめて給与から天引きされるケースがあります。
人事や総務に相談し、負担額や支払いタイミングを事前に確認しておくと、休職中の生活設計に役立ちます。
上司や人事と事前に相談すべきか
診断書をもらう前に、直属の上司や看護師長、人事担当者に「体調面での不安」「受診を検討していること」を伝えておくと、後の手続きがスムーズになる場合があります。
事前に相談することで、職場としてもシフト調整や人員配置を考えやすくなり、現場の混乱を最小限に抑えることにつながります。
一方で、職場の雰囲気によっては「弱音を吐きづらい」「評価への影響が不安」と感じる方もいるでしょう。
その場合は、まずは医療機関で受診し、診断結果を踏まえてからタイミングを見て上司に相談する方法もあります。
いずれにしても、無断欠勤や直前の長期欠勤はトラブルのもとになりますので、可能な範囲で早めのコミュニケーションを心がけることが重要です。
生活面・金銭面のシミュレーション
休職すると、給与が全額支給されない、または無給になるケースが多くなります。
そのため、診断書を取得する前に、おおよその休職期間を想定し、家計がどの程度影響を受けるのかシミュレーションしておきましょう。
家賃やローン、通信費、保険料などの固定費を書き出し、削減できる支出がないか検討しておくと安心です。
また、健康保険の傷病手当金の利用可否や支給額の目安を把握しておくことも大切です。
標準報酬日額の概算を確認し、「1日あたりどの程度もらえそうか」「何日目から支給か」を押さえておくと、休職中の生活資金の見通しが立てやすくなります。
必要に応じて、配偶者や家族と話し合い、サポート体制を整えておくとよいでしょう。
看護師が診断書をもらうための具体的な手順

実際に診断書を取得する際には、どの診療科を受診するか、初診時に何を伝えるか、費用はいくらかかるか、といった実務的なポイントを押さえておく必要があります。
診断書は、単に「病名を書いてもらえばよい」というものではなく、就業制限や休職期間、職場に伝えるべき配慮事項などを丁寧に記載してもらうことが重要です。
特にメンタル不調の場合、症状をうまく言語化できなかったり、受診時に緊張して本音を話せなかったりすることもあります。
事前にメモや日記を用意し、困っている場面や仕事への影響を整理しておくことで、診断内容がより自分の実情に近いものになります。
どの診療科を受診すべきか
心身の状態に応じて受診する診療科を選ぶことが大切です。
メンタル面の不調が主であれば、心療内科や精神科を受診するのが一般的です。
不眠、食欲低下、涙が止まらない、職場への恐怖や不安が強い、といった症状が続く場合は、早めに専門医に相談しましょう。
慢性的な腰痛や頚肩腕症候群などの身体症状が主であれば、整形外科やペインクリニックが適しています。
また、持病の悪化や手術を予定している場合は、もともと通院している主治医に相談し、就労制限の必要性を評価してもらうとスムーズです。
一つの診療科で判断が難しい場合には、総合内科や産業医との連携が取れる医療機関を選ぶことも選択肢になります。
受診時に伝えるべき内容と準備
診断書を目的に受診する場合、単に「休みたい」と伝えるだけでは、医師も就労制限の必要性を判断しにくくなります。
次のような情報を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。
- 現在の仕事内容と勤務形態(病棟・外来・手術室、夜勤回数など)
- 症状の内容と始まった時期、悪化してきた経過
- 睡眠時間、食欲、体重の変化
- 仕事中のミスの増加や集中力の低下の有無
- 通勤や出勤前の不安、涙、動悸などのエピソード
これらをメモにして医師に見せることで、診断書の必要性と期間設定の妥当性が高まります。
また、「完全に休むべきか」「夜勤だけを外すなど制限付き勤務が可能か」といった希望も、現実的な範囲で相談するとよいでしょう。
診断書の内容と期間設定のポイント
診断書には、病名や症状だけでなく、「何日から何日までの就労が困難」「この期間は自宅療養を要する」などの具体的な期間や就業制限が記載されます。
初回は2週間から1カ月程度の比較的短期で様子を見るケースが多く、その後の診察で延長を検討する流れが一般的です。
あまりに長期間を一度に記載してしまうと、職場との調整が難しくなったり、自分自身の回復見通しとのギャップが生じたりすることがあります。
一方で、短すぎる期間設定だと、症状が改善しきらないうちに復職を迫られる可能性もあります。
自身の状態と職場の状況を踏まえ、医師と相談しながら現実的な期間設定を行うことが重要です。
診断書の費用と保険適用の考え方
診断書の作成費用は、保険診療とは別の文書料として請求されるのが一般的です。
金額は医療機関ごとに異なりますが、数千円程度が多く、診断書の種類や枚数によってはそれ以上となる場合もあります。
通常、診断書作成そのものには健康保険は適用されず、自費扱いとなります。
ただし、診断書作成のための診察や検査自体は保険診療で行われることが多く、その部分は健康保険が適用されます。
受付時に「職場への提出用の診断書が必要」であることを伝え、費用の目安を確認しておくと安心です。
複数枚が必要な場合には、コピーで代用できるか、原本扱いが必要かを勤務先に確認しておきましょう。
上司への診断書と休職の伝え方
診断書を手に入れた後、多くの看護師が最も悩むのが「上司へどう伝えるか」です。
感情的になってしまう、うまく言葉にできない、責任感から言い出せないなど、心理的ハードルは小さくありません。
しかし、伝え方のポイントを押さえることで、トラブルを避けつつ、自分の権利と体調を守ることが可能になります。
ここでは、伝えるタイミング、対面での話し方、言いにくい場合の代替手段など、実務に即したポイントを整理します。
「職場に迷惑をかけたくない」という思いと、「これ以上は無理」という本音の均衡を取りながら、建設的なコミュニケーションを目指しましょう。
伝えるタイミングと順番
診断書を受け取ったら、できるだけ早めに直属の上司(一般的には主任や看護師長)に報告するのが基本です。
シフト作成や人員配置の関係上、報告が遅れるほど現場への負担が増え、結果的に職場との関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
可能であれば、診断書を受け取った当日〜翌営業日には面談の時間を調整しましょう。
報告の順番としては、まず直属の上司、その後に必要に応じて人事・総務・院長部門という流れが一般的です。
同僚への詳細な説明は必須ではなく、上司との話し合いの中で、どこまで共有するかをすり合わせるとよいでしょう。
対面での伝え方のポイントと例文
対面で伝える際は、感情を抑え込み過ぎる必要はありませんが、できるだけ事実ベースで冷静に話すことを意識しましょう。
話の骨子は、次のように整理できます。
- 医師にかかり、就労制限が必要と診断されたこと
- 診断書の有無と内容(期間や制限)
- 自分としても継続勤務が難しいと感じていること
- 職場への迷惑を最小限にしたいという思い
例えば、「以前から体調不良が続いており、本日心療内科を受診したところ、しばらくの間は就労を控えるよう診断がありました。こちらが診断書です。私自身も現状のまま勤務を続けることが難しいと感じており、休職についてご相談させていただきたいです」といった伝え方が参考になります。
言いづらい場合のメール・書面の活用
どうしても対面で話すと涙が止まらない、言葉に詰まってしまうという場合は、事前にメールや書面で概要を伝えておく方法もあります。
そのうえで、「詳細は直接お話しさせてください」と面談の場をお願いすると、心理的負担が軽減されます。
メールでは、感情表現を控えめにしつつ、診断書があること、休職の相談をしたいことを簡潔にまとめましょう。
ただし、メールや書面だけで一方的に伝えて終わりにするのは避けた方が無難です。
就業条件や復職条件に関わる重要な話し合いになるため、最終的には対面もしくはオンラインでの面談を行い、双方の認識をすり合わせることが大切です。
職場への配慮と自分を守るラインの引き方
真面目な看護師ほど、「職場に迷惑をかけないように」「同僚の負担を増やしたくない」と自分を責めがちです。
しかし、無理を続けて重大な医療事故や、自身の長期離脱につながる方が、結果的には職場への影響が大きくなります。
診断書に基づいた休職は、あくまで正当な手続きであり、やむを得ない健康上の理由に基づくものです。
職場への配慮としては、可能な範囲で引き継ぎ資料を作成したり、患者情報の整理をしておくとよいでしょう。
一方で、休職期間中は業務の連絡や相談に過度に応じず、治療と休養に専念することも重要です。
どこまで対応するか、自分なりのラインを決め、必要ならば上司とも共有しておきましょう。
休職中の給料と傷病手当金などの経済面

休職を決断する際に、最も不安が大きいのが経済面です。
給与がどの程度支給されるのか、健康保険の傷病手当金を利用できるのか、社会保険料はどうなるのかなど、制度を正しく理解しておくことで、不安を軽減できます。
ここでは、一般的な仕組みをもとに、看護師が押さえておくべきポイントを整理します。
なお、具体的な取り扱いは勤務先の就業規則や加入している健康保険組合によって異なる場合があります。
最終的には、人事部門や健康保険窓口に確認し、自身のケースに即した情報を得るようにしましょう。
休職中の給与の扱いと就業規則
多くの医療機関では、休職期間中の給与は「無給」または「一部支給」と規定されています。
一部支給の場合、休職開始から一定期間は基本給の何割かが支給され、その後無給に切り替わるといったパターンも存在します。
賞与についても、休職期間に応じて減額または不支給となることが一般的です。
こうした条件は、就業規則あるいは給与規程に定められているため、診断書を提出する前に必ず確認しましょう。
また、休職が長期化した場合、一定期間を超えると「自然退職」や「解雇」の扱いになる場合もあり得ます。
この点についても、規程上どのようになっているかを早めに把握しておくことが重要です。
健康保険の傷病手当金の条件と申請方法
会社員や公務員として健康保険に加入している看護師は、一定の条件を満たせば、傷病手当金を受給できます。
主な要件は、おおむね次の通りです。
- 業務外の病気やけがで療養中であること
- 労務不能であると医師が認めていること
- 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
- その期間に給与の支払いがないか、一定額未満であること
支給額の目安は、原則として直近の標準報酬月額から算出される1日あたりの額の約3分の2で、最長1年6カ月支給されます。
申請には、事業主の証明や医師の意見書が必要ですので、診断書と併せて手続きの流れを確認しておきましょう。
休職と失業給付・退職との関係
休職中は在職扱いとなるため、原則として失業給付(いわゆる失業保険)の対象にはなりません。
退職した場合に初めて、一定の条件を満たせば失業給付の受給が検討できます。
ただし、病気やけがで就職できない状態が続いている場合は、すぐに失業給付を受け取るのではなく、「受給期間の延長」の手続きを行うことになります。
休職から退職への切り替えを検討する際は、傷病手当金の支給状況や、退職後の健康保険・年金の扱いも含めて慎重に判断すべきです。
無収入期間が生じないよう、退職時期と公的給付の関係を、ハローワークや保険窓口などで確認しながら進めるとよいでしょう。
各制度の比較表
休む方法と経済的な扱いを整理するために、代表的な制度を簡単に比較します。
| 項目 | 有給休暇 | 欠勤 | 休職+傷病手当金 |
|---|---|---|---|
| 賃金 | 全額支給 | 原則無給 | 事業主からは無給が多いが、健康保険から傷病手当金(おおむね標準報酬日額の約3分の2) |
| 期間 | 付与日数の範囲内 | 就業規則による | 休職規程の範囲内かつ最長1年6カ月 |
| 診断書 | 不要な場合もある | 長期の場合は求められることが多い | ほぼ必須 |
| 在職扱い | 在職 | 在職 | 在職 |
休職期間中の過ごし方と復職への準備
休職は「ただ休む」だけの期間ではなく、心身を回復させ、今後の働き方を見直す大切な時間です。
特にメンタル不調が原因の場合、最初は罪悪感や不安から十分に休めない方も多いのですが、適切な治療とセルフケアを行うことで、徐々に回復の実感を得られるようになります。
復職を見据えた過ごし方を意識することで、再発のリスクを減らし、より自分に合った働き方を選び取ることができます。
ここでは、治療への向き合い方、家族や職場との関わり方、復職準備のステップについて解説します。
休職中に優先すべきこと
休職初期は、まず十分な睡眠と食事の確保を最優先しましょう。
それまでの疲労が蓄積している場合、日中も強い眠気や倦怠感が続くことがありますが、「休みすぎでは」と自分を責める必要はありません。
治療的な休養の時期と捉え、医師の指示に沿って生活リズムを少しずつ整えていくことが大切です。
同時に、必要な通院や服薬管理をしっかり行い、症状の変化をメモしておくと、診察時に役立ちます。
スマートフォンやパソコンで仕事関連の連絡を頻繁に確認すると心が休まらないため、閲覧頻度を意識的に減らすなどの工夫も検討しましょう。
職場や同僚との距離感の取り方
休職中の職場との連絡は、基本的には上司や人事担当者を窓口とし、頻度も必要最低限にとどめる方が、心身の回復には望ましいことが多いです。
同僚から心配の連絡をもらうこともありますが、返信の義務感で負担を感じるようであれば、無理にすべてに応じる必要はありません。
返信がつらい場合は、「今は体調の回復に専念しているので、こちらから落ち着いて連絡できるようになったら連絡するね」といった一言を送っておくと、お互いの安心につながります。
ラインやSNSの通知をオフにする、スマートフォンを別室に置くといった物理的な工夫も、休息の質を高める助けになります。
復職に向けたステップと主治医の意見
症状が落ち着いてきたら、復職のタイミングと働き方について、主治医と具体的に相談します。
医師は、症状の安定度や生活リズム、ストレス耐性などを総合的に評価し、フルタイム復職が可能か、段階的な復職が望ましいかなどを検討します。
必要に応じて、「軽作業から」「夜勤なしで」などの条件付き就労を勧めることもあります。
復職時には、職場側からも「産業医面談」や「職場復帰プログラム」への参加を案内されることがあります。
これらは、復職後の再発リスクを減らし、無理のないペースで業務に戻るための仕組みです。
制度がある場合は積極的に活用し、医師と職場の双方と対話しながら、自分に合った復職プランを立てましょう。
再発予防のための自己管理
復職後は、休職前と同じ働き方をそのまま再開すると、再発リスクが高まります。
業務量の調整、夜勤回数の見直し、オンオフの切り替え方、相談できる相手を事前に決めておくことなど、再発予防の視点で自己管理を行うことが重要です。
具体的には、休日に仕事のメールを見ない、残業が続いたら早めに上司に相談する、定期的にカウンセリングやメンタルチェックを受ける、といった行動が有効です。
また、将来的に部署異動や転職を視野に入れることで、「今の環境だけがすべてではない」という安心感が生まれ、心理的負担の軽減にもつながります。
休職を選ぶべきか迷う看護師への判断材料
診断書をもらうかどうか、休職に踏み切るかどうかは、多くの看護師にとって大きな決断です。
「周囲はもっと頑張っている」「自分だけ休んでいいのか」といった罪悪感や、不安定な収入への心配から、ギリギリまで我慢してしまうケースも少なくありません。
しかし、早めに適切な対応を取ることで、結果的に回復が早まり、看護師としてのキャリアを長く続けられる可能性が高まります。
ここでは、判断のためのチェックポイントや、よくある誤解について整理します。
休職を検討すべきサイン
次のような状態が続いている場合は、休職を含めた対策を真剣に検討するサインと考えられます。
- 出勤前に強い不安や動悸、吐き気が頻繁に起こる
- 眠れない、または過度に眠ってしまい日常生活に支障が出ている
- ミスが増え、集中力が極端に落ちている
- 趣味や食事への興味がほとんどなくなった
- 「いなくなりたい」といった考えが頭をよぎることが増えた
これらは、単なる疲労を超えた心身の危険信号であることが多く、医療者であっても自己判断で放置するのは危険です。
早めに専門医に相談し、現状の評価と必要な対応を一緒に考えてもらいましょう。
よくある誤解と不安への向き合い方
看護師の中には、「診断書をもらうのは甘え」「一度休職すると職場に戻れないのでは」といった不安を抱える方が多くいます。
しかし、実際には医療現場でもメンタル不調や身体疾患による休職は珍しくなく、多くの人が適切な支援を受けながら復職しています。
また、「転職に不利になる」と心配されることもありますが、健康管理のために必要な治療と休職を行ったこと自体が、必ずしもマイナス評価につながるわけではありません。
むしろ、自分の限界を正しく認識し、適切に対応した経験は、長期的なキャリア形成においてプラスに働くこともあります。
専門職としてのセルフケアとキャリアデザイン
看護師は、患者さんの健康を支える専門職であると同時に、自身の健康を守る責任も負っています。
セルフケアを軽視し、過度な自己犠牲で働き続けることは、長期的には自分だけでなく周囲にも悪影響を及ぼします。
診断書による休職は、その意味で「プロフェッショナルとしての健康管理」の一部と捉えることができます。
休職期間を利用して、「どのようなペースで」「どのような環境で」看護師として働きたいのかを見つめ直すことも、重要なキャリアデザインです。
病棟から外来、訪問看護、企業看護職など、働き方の選択肢は多様化しています。
自分の健康と人生を大切にしながら、無理のない形で看護を続けていける道を探していきましょう。
まとめ
看護師が診断書をもらって休職することは、決して特別なことでも、甘えでもありません。
過重労働や精神的負荷が大きい医療現場だからこそ、心身の限界を正しく見極め、必要なときに適切な休養を取ることが、患者さんの安全と自分自身の人生を守ることにつながります。
診断書取得から上司への伝え方、休職中の経済的支援制度、復職までの流れを事前に理解しておくことで、不安は大きく軽減されます。
迷いや罪悪感があっても、一人で抱え込まず、医師や信頼できる上司、家族などと相談しながら、最善の選択をしていきましょう。
あなたの健康と人生は、仕事と同じくらい、あるいはそれ以上に大切にされるべきものです。