体調不良やメンタル不調、家族の事情などで休職中の看護師の方は、「この時間を無駄にしたくないが、何をして過ごすべきか」「復職に向けてどんな勉強をしたらよいか」と悩みやすいものです。
一方で、焦りすぎて無理をすると、かえって回復が遅れることもあります。
この記事では、看護師の休職中の過ごし方と、無理なくできる勉強のポイント、さらにリフレッシュ方法やお金・手続き面の注意点まで、看護職に精通した視点から体系的に解説します。
復職を見据えながらも、心身を整え、自分らしいキャリアを考え直す機会として休職期間を活用できるよう、実践しやすい具体例を豊富に紹介します。
今の自分の状態に合わせて取捨選択しながら、安心して読み進めてください。
目次
看護師 休職中 過ごし方 勉強を考える前に押さえたい基本
休職中の看護師にとって、過ごし方や勉強内容を考える前に、まず押さえておきたい基本があります。
それは「休職の目的を明確にすること」と「今の自分の回復段階を正しく評価すること」です。体調やメンタルが十分に回復していない段階で、難しい資格勉強や転職活動に踏み出すと、状態を悪化させることがあります。
また、就業規則や主治医の指示によっては、休職中の就労や過度な活動が制限される場合もあります。社会保険や傷病手当金などの制度の利用とも関わるため、自己判断で動きすぎると後からトラブルになることもあります。
ここでは、勉強やスキルアップに取りかかる前に確認したいポイントを整理していきます。
休職の目的とゴールを整理する
まず大切なのは、自分がなぜ休職しているのか、目的とゴールを言葉にしておくことです。
例えば、うつ状態や適応障害で休職した場合、「十分に眠れるようになる」「食事や身の回りのことが自力でできるようになる」といった日常生活レベルの回復がゴールの前半になります。
そのうえで、「以前と同じ部署に復職するのか」「部署異動や転職も視野に入れるのか」といった中長期のゴールもイメージしておくと、勉強の方向性が定まりやすくなります。
手帳やノートに、現時点での悩みと、休職期間が終わる頃に「こうなっていたい」という状態を書き出してみると、頭の中が整理されます。
医師や産業医、カウンセラーと話す際にも、自分のゴールが整理されていると相談がしやすくなり、復職支援計画にも反映されやすくなります。
今の心身の状態を専門職と一緒に評価する
過ごし方や勉強量を決める際には、自己判断だけでなく、主治医や心療内科医、カウンセラーなど専門職と一緒に現状を評価することが重要です。
メンタル不調からの休職では、本人の主観と客観的な状態にギャップがあることが少なくありません。少し良くなってくると「何かしないと」と焦りやすく、負荷をかけすぎて再悪化するリスクがあります。
診察時に「どの程度の活動ならしてよいか」「勉強やパートタイム勤務を始めるタイミングの目安」などを確認しておくと安心です。
看護師の場合、復職後の勤務が不規則で高ストレスになりやすいことから、主治医は「通常の生活がほぼ問題なく送れる」段階まで、職場復帰を慎重に判断することも多いです。焦らず段階を踏む意識を持ちましょう。
就業規則と休職中の禁止事項を確認する
休職中の過ごし方を考えるうえで、勤務先の就業規則の確認は欠かせません。多くの医療機関では、休職中の副業や他院での就労を禁止しており、場合によっては有償ボランティアや単発アルバイトも制限されることがあります。
これは、治療と回復を優先してほしいという意味合いと、労災や保険、雇用契約上の問題を避けるためでもあります。
勉強や資格取得自体を禁止しているケースは多くありませんが、看護研究や学会活動など、実質的に仕事と見なされる活動については、事前に確認しておくと安心です。
迷う場合は、看護部や人事担当者、産業医などに「休職中にどこまでならしてよいか」を相談し、トラブルを防ぎましょう。
休職中の看護師の過ごし方の基本方針

休職中は、時間的な余裕がある一方で、疲れやすさや気分の波が続くことも多く、「思うように動けない自分」に落ち込んでしまいがちです。
過ごし方の基本方針として大切なのは、「回復を最優先しつつ、生活リズムと自尊感情を少しずつ回復させる」ことです。
看護師は責任感が強く、完璧を目指す傾向があるため、「休職中なのに生産的なことができていない」と自分を責めてしまうケースが目立ちます。
しかし、休むこと自体が立派な治療であり、回復の土台です。この章では、心身の状態に応じた休職中の基本的な過ごし方の考え方を整理します。
「休む勇気」を持つことの重要性
休職初期は特に、「しっかり休む」という行為が最も重要なタスクになります。
睡眠不足や交代勤務による生活リズムの乱れ、暴露し続けたストレスから回復するには、予想以上に時間がかかることも珍しくありません。意識して何かを頑張るよりも、「頑張らない」ことが治療効果を高める場合があります。
罪悪感を覚えたときには、「今は回復のための治療期間」「復職後に安全にケアを提供するための準備」と自分に言い聞かせることが有効です。
回復が進むにつれて、自然と「何かしてみたい」という意欲が戻ってきます。そのタイミングまで、無理に勉強や活動を詰め込まないことが、結果的に早い職場復帰につながることも多いです。
生活リズムを整えることから始める
休職中の過ごし方の土台になるのが、睡眠と食事、適度な運動による生活リズムの安定です。
夜勤で乱れていた生活を、できる範囲で昼型に近づけることは、メンタルの安定にも大きく寄与します。具体的には、毎朝同じ時間に起きる、日中に太陽光を浴びる、寝る前のスマホ使用時間を短くするといった、小さな行動からで十分です。
食事も、栄養バランスを完璧に整える必要はなく、「1日2回は固形食をとる」「水分を意識してとる」程度の目標から始めましょう。
調理が負担なら、冷凍食品や総菜を積極的に活用して構いません。看護師は栄養学の知識がある分「理想」に縛られがちですが、休職中は「現実的にできる範囲」を優先することが賢明です。
メンタル不調で休職している場合の注意点
うつ病や適応障害、不安障害などメンタル不調で休職している場合は、過ごし方にもいくつかの注意点があります。
第一に、状態が不安定な時期は、感情を大きく揺さぶる情報を避けることが推奨されます。医療現場のニュースやSNS上の看護師コミュニティは、刺激が強く、自己否定感を増幅させてしまう場合があります。
第二に、「できること」に焦点を当て、小さな成功体験を積むことが大切です。
例えば、「今日はシャワーを浴びられた」「ゴミ出しができた」など、日常生活の中の些細な行動も、回復期には大きな一歩です。
それらを記録しておくと、自己評価の歪みを修正しやすくなります。
また、状態によっては、勉強や資格取得といった負荷の高い活動は、医師と相談しつつ、回復段階を見極めてから始めることが望ましいです。
看護師が休職中に取り組みやすい勉強内容

心身の状態が少し落ち着き、「何か学びを始めたい」と思えるようになったら、負担になりにくい範囲で勉強を取り入れていくのがおすすめです。
休職中の勉強は、復職後の自信回復につながるだけでなく、「キャリアの選択肢を広げる」手段にもなります。
ただし、看護師国家試験のような高負荷の学習ではなく、「短時間でも達成感を得られる」「日常生活やセルフケアにも役立つ」テーマから始めると継続しやすくなります。ここでは、休職中の看護師が取り組みやすい代表的な勉強内容を紹介します。
基礎看護技術と疾患の復習
ブランクが長くなりそうな場合は、基礎看護技術や主要な疾患の復習が有効です。
看護過程やアセスメントのフレームワーク、バイタルサインの意味づけ、成人看護で頻度の高い循環器・呼吸器疾患などを、テキストや動画教材で少しずつ見直していきます。
近年は、オンラインの無料講座や動画解説も充実しており、教科書よりもイメージしやすいコンテンツが増えています。1日に数十分程度、「一つのテーマだけ学ぶ」と区切ることで、負担を減らしつつ知識の再確認ができます。
復職前に「忘れていない」という実感を持てると、不安軽減に大きく役立ちます。
感染管理・安全管理などの最新知識
ここ数年で大きく変化した領域として、感染管理や安全管理があります。
新興感染症の経験を通じて、標準予防策の考え方や個人防護具の運用、院内クラスター対策など、実務レベルの運用が更新され続けています。休職期間が長い場合は、ガイドラインや院内マニュアルの改訂が行われている可能性も高いです。
感染管理認定看護師の解説書や、看護職向けの安全管理のテキストなどを用いて、基本概念と最新のポイントを確認しておくと安心です。
また、ヒヤリハット事例やインシデント報告書の傾向から、安全文化やチームコミュニケーションの重要性を学び直すことも、復職後のミス予防に直結します。
コミュニケーション・アサーションの学習
人間関係や職場の雰囲気が原因で休職した場合、コミュニケーションスキルやアサーションの学習は特に有効です。
アサーションとは、自分も相手も大切にしながら、率直に気持ちや意見を伝える技法のことです。看護現場では、医師や先輩、コメディカル、患者家族など、多様な相手とコミュニケーションをとる必要があるため、このスキルは大きな武器になります。
書籍やオンライン講座で、伝え方のフレーズや、境界線の引き方、感情の整理方法を学ぶことで、「言えないストレス」や「我慢しすぎ」を減らすことができます。
自分の過去の経験を振り返りながら、どのような場面でアサーティブな対応ができそうかをイメージしておくと、復職後に実践しやすくなります。
自分の興味に合わせた専門分野の勉強
復職後のキャリアを見据えて、興味のある専門分野を少しずつ学び始めるのも良い選択肢です。
例えば、緩和ケア、在宅看護、精神看護、小児看護、糖尿病療養指導など、多様な分野の入門書やeラーニングが存在します。まずは「入門」「はじめての」「基礎」といったレベルの教材から、自分のペースで読み進めてみましょう。
専門分野の学習は、「自分にはこういう分野が向いているかもしれない」「この領域を深めたい」という前向きな感情を生みやすく、モチベーションの回復にもつながります。
すぐに認定資格を目指さなくても、基礎知識を蓄えておくことで、将来的な配置転換や転職の際に選択肢を広げることができます。
勉強とリフレッシュのバランスをとる過ごし方
休職中の勉強は大切ですが、やりすぎると疲労や自己否定感につながり、かえって回復を妨げます。
重要なのは、「勉強」と「リフレッシュ」をセットで考え、メリハリをつけた過ごし方を意識することです。看護師は真面目な方が多く、「どうせやるならしっかり」と考えがちですが、休職中は「六〜七割できれば十分」という感覚で調整することが求められます。
この章では、勉強と休息のバランスをとるための時間の使い方や、具体的なリフレッシュ方法を紹介します。自分の体調と相談しながら、取り入れられそうなものから試してみてください。
1日のタイムスケジュールの考え方
休職中は予定が少ないため、「何となくスマホで時間が過ぎてしまう」「昼夜逆転してしまう」といった状況になりがちです。
そこで、ざっくりとした1日のタイムスケジュールを作っておくと、生活リズムを保ちやすくなります。例えば、午前中に散歩と簡単な家事、午後に30分〜1時間の勉強、夕方以降はリラックスタイムといったイメージです。
厳密な時間割にする必要はなく、「午前」「午後」「夜」の3ブロックで、おおまかな過ごし方を決めておく程度で十分です。
体調が悪い日は、勉強を完全に休んで休息に充てるなど、柔軟に変更しましょう。看護師として勤務していた時のように、「予定通りにこなすこと」を目標にすると疲れてしまうため、「できたらラッキー」くらいの気楽さを持つことがポイントです。
散歩や軽い運動を取り入れるメリット
勉強の合間に取り入れたいのが、散歩やストレッチなどの軽い運動です。
特にメンタル不調の回復期には、運動療法が気分の安定や睡眠の質の改善に効果的であることが多くの研究で示されています。近所を15〜20分歩くだけでも、日光を浴びることで体内時計が調整され、気分転換にもなります。
運動が苦手な方は、ラジオ体操や簡単なヨガ動画など、室内でできるものから始めても構いません。
大切なのは、「運動量」ではなく「体を動かしたという感覚」を得ることです。
勉強前後に体をほぐすことで、集中力が高まり、学習効率も良くなります。血行が良くなることで、肩こりや頭痛の軽減につながることも期待できます。
趣味やリラクゼーションで心を休める
休職中は、勉強や家事だけでなく、「純粋に楽しいと思える時間」を意識的に確保することが大切です。
読書、音楽、手芸、料理、ガーデニング、ゲームなど、内容は何でも構いません。ポイントは、「結果を求めない」「誰のためでもなく自分のために行う」という姿勢です。
また、マインドフルネスや呼吸法、セルフマッサージなどのリラクゼーション技法も、ストレス軽減に役立ちます。
短時間でできるものをいくつか覚えておくと、不安や落ち込みが強くなったときの対処法としても活用できます。
趣味やリラクゼーションは、一見すると勉強とは無関係に見えますが、心身を整えることで、結果的に復職の準備を支える重要な要素になります。
オンライン教材や通信講座を活用した勉強法

外出が負担だったり、感染リスクが気になる場合でも、オンライン教材や通信講座を活用すれば、自宅で無理なく勉強を続けることができます。
看護師向けのeラーニングや動画講座、一般向けの医療・心理学講座など、近年は選択肢が非常に豊富になっています。
ただし、コストや難易度、学習サポート体制はサービスごとに大きく異なります。
ここでは、オンライン学習を取り入れる際のポイントと、選び方の目安を整理します。複数の手段を組み合わせ、今の自分に合ったペースで活用していくと良いでしょう。
無料で利用できるオンライン学習コンテンツ
まず試してみやすいのが、無料で公開されている動画やeラーニングです。看護技術の解説や、疾患の基礎知識、感染対策、医療安全など、さまざまなテーマが扱われています。
短時間の動画や記事形式のコンテンツなら、集中力が続きにくい時期でも取り組みやすいのが利点です。
利用する際は、運営元が医療専門職や学会、教育機関など信頼性の高い組織かどうかを確認しましょう。情報の正確性が不十分なコンテンツに頼りすぎると、誤った知識が身についてしまう恐れがあります。
無料のコンテンツは「お試し」として幅広く触れ、興味のある分野が見えてきたら、有料講座や書籍で深めていくのが効率的です。
有料の通信講座・資格講座を選ぶポイント
より体系的に学びたい場合は、有料の通信講座や資格講座の受講も選択肢になります。医療安全管理者、認知症ケア、リンパドレナージ、フットケア、コーチングなど、多様なテーマの講座が提供されています。
選ぶ際は、次のようなポイントを確認するとよいでしょう。
- 自分の体調と照らして、学習量が無理のない設計か
- 看護師の実務に役立つ内容かどうか
- 動画・テキスト・添削など、学習サポートが充実しているか
- 費用に見合う価値があるか(就職・転職で評価されるかなど)
休職中は収入が減っているケースも多いため、負担にならない範囲での投資にとどめることが大切です。
申し込む前に、無料体験や資料請求で内容を確認し、「今の自分に合っているか」を慎重に見極めましょう。
オンライン勉強会・ウェビナーへの参加
看護関連の学会や専門団体、医療機関などが開催するオンライン勉強会やウェビナーも、休職中に利用しやすい学習機会です。
最新のガイドラインや臨床のトピックスを、専門家の講義で効率よく学ぶことができます。リアルタイム参加が難しい場合でも、アーカイブ配信により後日視聴できるものも増えています。
ただし、長時間の講義は疲れやすいため、体調に合わせてテーマを厳選することが重要です。
また、チャットや質疑応答で他の参加者との交流が生じる場合、心理的負担になることもあります。
「聞くだけ参加」でも構わないので、自分のペースを守りながら、興味のあるテーマだけをピックアップして参加すると良いでしょう。
休職から復職・転職を見据えたキャリアの見直し
休職期間は、心身の回復だけでなく、自分のキャリアを見直す絶好の機会でもあります。
今までの働き方をそのまま続けるのか、部署異動や勤務形態の変更、転職やフリーランス的な働き方を検討するのかを、落ち着いて考える時間が持てるからです。
看護職の働き方は近年多様化しており、病棟勤務以外にも、訪問看護、クリニック、企業、教育・研究職など、さまざまな選択肢があります。
この章では、復職や転職を見据えたキャリアの棚卸しと、情報収集のポイントを解説します。
自分の価値観と働き方の優先順位を整理する
キャリアを見直す第一歩は、「自分が大切にしたい価値観」を整理することです。
例えば、「患者さんとじっくり関わりたい」「家族との時間を優先したい」「収入を重視したい」「夜勤は減らしたい」「専門性を高めたい」など、何を優先するかによって、選ぶべき職場は大きく変わります。
紙に書き出して、優先順位をつけてみると、自分でも気づいていなかった本音が見えてくることがあります。
また、過去に「やりがいを感じた場面」と「つらかった場面」を振り返ることで、自分に合う環境や、人間関係の特徴が見えてきます。これらの気づきは、復職先の部署選びや転職活動の軸として大いに役立ちます。
復職か転職かを判断する視点
休職後に同じ職場へ復職するか、転職するかの判断は、多くの看護師が悩むポイントです。
見極めの際は、「原因が個人要因か環境要因か」「職場が改善に向けて協力的か」「自分がその環境に戻ったときのイメージが持てるか」といった視点が参考になります。
職場の支援が手厚く、配置転換や業務量調整が期待できるなら、まずは復職してみる選択もあります。一方で、ハラスメントや構造的な長時間労働など、自分の努力では変えにくい問題が大きい場合は、転職を検討する価値が高まります。
いずれにせよ、主治医や産業医、信頼できる同僚など第三者の意見も参考にしながら、短期的な不安だけでなく、中長期的な健康とキャリアを見据えて判断することが大切です。
情報収集の方法と注意点
キャリアを考えるうえでの情報収集には、看護協会や職能団体が提供する資料、各種セミナー、求人情報、体験談など、さまざまなルートがあります。
ただし、インターネット上の口コミやランキングは、個人の主観が強く反映されていることも多く、鵜呑みにするのは危険です。
複数の情報源を組み合わせ、「どの情報が誰の立場から書かれているのか」を意識しながら読み解きましょう。
また、転職支援サービスなどを利用する場合も、自分の希望を明確に伝え、提案された求人を冷静に比較検討する姿勢が必要です。休職中は不安から早く次を決めたくなりがちですが、「今の自分にとって本当に無理のない環境か」を軸に判断することが、再度の休職を防ぐうえで重要です。
休職中に押さえておきたいお金と制度のポイント
過ごし方や勉強とあわせて、休職中はお金と社会保障制度の確認も非常に重要です。
看護師は正職員として社会保険に加入していることが多く、条件を満たせば傷病手当金や失業給付などの支援を受けられる可能性があります。
これらの制度を正しく理解し、計画的に活用することで、経済的不安を和らげることができます。
ここでは、休職中に特に押さえておきたい代表的なポイントを概説します。ただし、具体的な条件や手続きは勤務先の規定や加入している保険によって異なるため、詳細は職場の担当部署や窓口に確認してください。
傷病手当金などの収入面の確認
健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば、病気やけがで仕事を休んだ期間に傷病手当金を受給できる制度があります。
支給額は標準報酬日額の3分の2程度が目安とされており、最大で長期間支給されるケースもありますが、支給開始までの待機期間や申請手続きが必要です。
看護師の場合、夜勤手当や時間外手当が収入の大きな割合を占めていることも多く、休職による収入減のインパクトは小さくありません。
そのため、傷病手当金の有無や金額の目安、支給期間を早めに確認し、家計の見通しを立てておくことが大切です。必要に応じて、公的な相談窓口やファイナンシャルプランナーに相談するのも有効です。
保険証・年金・税金まわりの手続き
休職中も、健康保険や年金、税金に関する手続きは継続して発生します。
多くの場合、在職中は会社が手続きを代行しますが、休職期間が長期化したり、退職を伴う場合には、自分で手続きが必要になることもあります。例えば、退職後の国民健康保険の加入や、任意継続被保険者の選択、国民年金への切り替えなどです。
また、医療費控除や障害年金、各種減免制度など、状況によって利用できる制度もあります。
これらは制度ごとに要件が異なるため、早めに市区町村の窓口や社会保険の担当部署に相談し、自分が利用できる支援を確認しておくことが重要です。
制度を知らないことで損をしてしまうケースも少なくないため、「よく分からないから」と放置せず、情報収集と相談を行いましょう。
支出を見直し無理のない生活設計をする
収入が減る休職期間中は、支出の見直しも大切です。ただし、節約を意識しすぎて、健康や回復に必要な支出まで削ってしまうと本末転倒です。
家賃や光熱費、通信費などの固定費を中心に、削減できる項目がないかを検討してみましょう。
一方で、通院費や薬代、カウンセリング費用、適度なレジャーや趣味への支出は、回復のための投資と考えられます。
「削るところ」と「残すところ」の線引きを意識することが重要です。状況によっては、奨学金の返済猶予や住宅ローンの条件変更などが相談できる場合もあるため、早めに金融機関や関連窓口に問い合わせてみると安心です。
まとめ
看護師が休職中にどのように過ごし、どんな勉強をするかは、心身の状態や休職理由、今後のキャリアプランによって大きく異なります。
共通して言えるのは、「回復を最優先しつつ、自分のペースで少しずつ前に進む」姿勢が何よりも大切だということです。
まずは、休職の目的とゴールを整理し、主治医や職場と連携しながら、生活リズムを整えることから始めましょう。
状態が落ち着いてきたら、基礎看護技術や感染管理の復習、コミュニケーションやアサーションの学習、興味ある専門分野の入門など、負担の少ない勉強を取り入れていきます。勉強と同時に、散歩や趣味、リラクゼーションなどで心身をリフレッシュさせることも忘れないでください。
また、休職期間はキャリアを見直すチャンスでもあります。自分の価値観や働き方の優先順位を整理し、復職か転職かを冷静に検討していくことで、今後の人生にとってより良い選択がしやすくなります。
あわせて、傷病手当金や各種制度、お金の見通しも確認し、経済的不安を和らげておきましょう。
休職は決して後ろ向きな出来事ではなく、自分と向き合い、新しい働き方や生き方を考え直す貴重な時間にもなり得ます。
焦らず、一歩ずつ。今の自分を大切にしながら、この期間を有意義に過ごしていきましょう。