夜勤のたびに憂うつになり、出勤前からおなかが痛くなる。
仮眠しても全然眠れず、明け方にはフラフラ。
そんな夜勤のつらさを抱えながらも、辞める決断まではつかない…。
このような悩みを抱える看護師の方は非常に多いです。
本記事では、現場の実情と最新のエビデンスを踏まえつつ、夜勤が嫌すぎると感じる原因と、今日から試せる具体的な乗り越え方を詳しく解説します。
勤務中のテクニックだけでなく、シフト調整のコツや、転職も含めた選択肢まで整理しますので、自分に合う方法を見つける参考にして下さい。
目次
看護師 夜勤 嫌すぎる 乗り越え方を整理する
まずは、なぜ多くの看護師が夜勤を嫌だと感じるのか、そしてどのような乗り越え方が現実的なのかを整理することが大切です。
夜勤は単に生活リズムが乱れるだけでなく、睡眠不足、ホルモンバランスの変化、慢性的な疲労、ヒューマンエラーのリスク上昇など、心身の健康に大きく影響します。加えて、日勤に比べて人員が少ない中で急変対応を行う精神的負荷も重く、ミスへの恐怖や責任の重さが「嫌すぎる」という感情を強めています。
一方で、夜勤手当による収入増や、落ち着いた環境でじっくり患者と関われる良さを感じている人もいます。重要なのは、夜勤という働き方を無理に美化するのではなく、「自分はなぜつらいのか」を具体的に言語化し、その原因に対して対策を打つことです。ここをあいまいにしたまま根性論で乗り切ろうとすると、燃え尽きやメンタル不調につながりやすくなります。
夜勤が嫌すぎると感じる主な理由
夜勤がつらい理由は人によって異なりますが、多くの看護師に共通するのは、睡眠不足と生活リズムの乱れです。
日勤と夜勤が交互に続く交代制勤務では、体内時計が常に揺さぶられ、深い睡眠がとれず、翌日以降も強い眠気や倦怠感が残ります。さらに、家族や友人との生活時間帯がずれることで、孤立感や疎外感を抱きやすくなり、メンタル面の負荷が増大します。
また、夜間はスタッフ数が少ない一方で、急変やナースコール対応、入院受け入れなど、業務内容が煩雑になりがちです。
日勤帯に比べて医師やコメディカルが少なく、「自分で判断しなければならない場面」が増えるため、経験の浅い看護師ほどプレッシャーを強く感じます。こうした要因が重なり、「夜勤=怖い、行きたくない」という感情が固定化していきます。
乗り越え方を考える前に押さえるべき前提
夜勤の乗り越え方を考えるうえで大切な前提は、夜勤そのものを完全に好きになる必要はないということです。
多くの医療機関で夜勤は必要不可欠な勤務形態ですが、嫌だと感じること自体は自然な反応であり、決して甘えではありません。自分の感情を否定せず、「どうすれば少しでも楽に、安全に続けられるか」を現実的に検討していく視点が重要です。
また、対策は一つではありません。
勤務中の工夫、睡眠や食事の整え方、職場環境の調整、家族との連携、さらには勤務形態や職場を見直すことまで、複数の選択肢を組み合わせていくことで、負担を大きく下げることができます。この記事では段階的に選択肢を提示しますので、自分の状況や価値観に合うものを取捨選択して下さい。
夜勤を続けるか、やめるかの判断軸
夜勤が嫌すぎると感じたとき、多くの方が迷うのが「夜勤を続けるべきか、それともやめるべきか」という問題です。
判断のポイントとして重要なのは、心身の健康状態と、生活全体への影響です。夜勤明けに動悸や息苦しさ、強い不安感が続く、食欲がない、眠れないといった症状が長期間続く場合は、メンタルや身体にかなりの負荷がかかっている可能性が高く、勤務形態の見直しを優先して検討すべきです。
一方で、「行く前は憂うつだが、出てしまえば何とかやれている」「数日休めば回復する」といった状態であれば、勤務中の工夫やセルフケア、シフト調整で負担を軽減できる余地があります。
どちらにしても、我慢を美徳とせず、必要に応じて上司や産業医、保健師に相談することが、長く安全に働き続けるための第一歩になります。
看護師が夜勤を嫌だと感じる具体的な原因

夜勤を乗り越えるためには、「何がどのようにつらいのか」をできる限り具体的に把握することが重要です。
漠然と「夜勤が嫌」と思っているだけでは、対策がぼやけてしまい、根性論や気合いに頼るしかなくなります。実際には、睡眠リズムの乱れ、身体症状、メンタル不調、職場の人間関係、スキル不足への不安など、複数の要因が絡み合って夜勤のつらさを作り出しています。
ここでは、看護師が夜勤を嫌だと感じる主な原因を整理し、それぞれに対してどのようなアプローチがあり得るのかを後の章の前提として明らかにしていきます。自分のつらさがどの要素に強く当てはまるかを意識しながら読み進めることで、後半で紹介する具体的な乗り越え方が選びやすくなります。
睡眠リズムの乱れと慢性的な疲労
夜勤による睡眠リズムの乱れは、ほぼ全ての看護師が経験する問題です。
本来、人間の体内時計は昼間に活動し、夜間に休息をとるようプログラムされています。交代制勤務ではこのリズムが頻繁に逆転するため、浅い眠りになりやすく、十分な睡眠時間を確保しても疲れが取れないと感じやすくなります。特に連続夜勤や、夜勤から日勤への切り替えが急なシフトは、心身の負担が大きいとされています。
慢性的な睡眠不足は、集中力や判断力の低下だけでなく、頭痛、胃腸症状、免疫力低下にもつながります。
結果として、夜勤のたびに体調不良を起こしやすくなり、「夜勤に入ると必ず具合が悪くなる」という悪循環に陥ることがあります。このような状況が続くと、夜勤そのものへの恐怖感や嫌悪感がさらに増幅し、出勤前から強いストレス反応が出るようになります。
夜間特有のプレッシャーと責任の重さ
夜勤では、日勤帯に比べて医師やコメディカルの数が少なく、看護師一人あたりの受け持ち患者数が増える傾向があります。
その一方で、急変や救急搬送、術後患者の経過観察など、リスクの高い場面は少なくありません。特に若手看護師や中途採用で現場に慣れていない人にとっては、「判断を誤ったらどうしよう」「コールしても医師がすぐ来られなかったら」といった不安が常につきまといます。
また、夜間は患者や家族の不安も高まりやすく、せん妄や不穏、認知症患者の離床などへの対応も増加します。
限られた人員で同時多発的な問題に対処しなければならないため、「常に追われている感覚」が続き、精神的な余裕を失いやすくなります。こうしたプレッシャーが積み重なることで、「夜勤に行くと心がすり減る」「帰宅しても何もする気が起きない」といった状態に陥ることがあります。
生活・家庭との両立の難しさ
夜勤が嫌だと感じる大きな要因の一つが、生活や家庭との両立の難しさです。
子育て中の看護師の場合、夜勤後に短時間しか眠れないまま保育園の送り迎えや家事をこなさなければならないケースが多く、身体的にも精神的にも大きな負担になります。介護や家族のサポートを抱えている場合も同様で、「自分の休息時間を確保する」ことが後回しになりがちです。
また、パートナーや友人と生活リズムが合わないことで、休日に予定を合わせづらくなったり、家族とのコミュニケーションが減少したりすることもあります。
これが孤立感や虚無感を強め、「何のために働いているのか分からなくなる」といった感情を引き起こすことがあります。生活全体の満足度が下がると、夜勤への嫌悪感も増幅しやすくなります。
人間関係や職場風土の影響
夜勤そのものの負荷に加えて、人間関係や職場風土も、夜勤を嫌だと感じる大きな要因になります。
例えば、夜勤メンバーの中に威圧的な先輩がいる、ミスに対する責め方が厳しい、相談しづらい雰囲気があるといった場合、夜勤前から強い不安や緊張が続きます。単独夜勤や少人数体制の病棟では、気の合わないメンバーとの勤務が避けにくく、精神的なストレスが増大しがちです。
また、「夜勤は若手がやって当然」「つらくても我慢するのがプロ」といった暗黙の文化が強い職場では、しんどさを口に出しづらく、相談のタイミングを逃してしまうことがあります。
結果として、限界を超えるまで抱え込んでしまい、休職や離職につながるケースも少なくありません。夜勤の負担を個人の根性の問題に矮小化せず、組織としてどう支えるかが重要です。
今日からできる 看護師の夜勤を楽にする乗り越え方

夜勤のつらさを根本から無くすことは難しいですが、日々の工夫によって負担を大きく軽減することは可能です。
ここでは、勤務前後の過ごし方や休憩の取り方、夜勤中のセルフマネジメントなど、今日から実践できる具体的な乗り越え方を紹介します。すべてを完璧に行う必要はなく、自分の生活スタイルや職場環境に合わせて取り入れやすいものから試していくのが現実的です。
小さな工夫でも、積み重ねることで睡眠の質や疲労感、気分の落ち込みが大きく変わることがあります。
科学的な知見に基づいた方法を中心に解説しますので、根性論ではなく再現性のあるセルフケアとして取り組んでみて下さい。
夜勤前後の睡眠戦略を見直す
夜勤を少しでも楽にするうえで、睡眠の取り方を工夫することは非常に重要です。
まず夜勤前は、可能であれば午後から夕方にかけて90分前後の仮眠をとることが推奨されています。90分は睡眠の一つのサイクルとされており、中途半端に30分だけ眠るよりも、起床時の眠気が軽減されやすいとされています。カーテンを閉めて部屋を暗くし、スマートフォンを見ずに横になるだけでも、脳と身体の休息につながります。
夜勤後の睡眠では、「長く寝過ぎないこと」もポイントです。
帰宅後すぐにシャワーや軽い食事を済ませ、午前中のうちに3〜4時間程度のまとまった睡眠をとったら、一度起きて日光を浴びるようにします。午後に長時間眠ってしまうと、その夜の入眠が難しくなり、生活リズムがさらに乱れてしまいます。眠れないときは、横になって目を閉じるだけでも休息効果がありますので、「眠らなきゃ」と焦らず、リラックスを優先して下さい。
夜勤中の食事とカフェインのコントロール
夜勤中の食事とカフェインの摂り方も、眠気や体調に大きく影響します。
夜勤入り前は、脂っこいものや大量の炭水化物を避け、消化の良いタンパク質や野菜を中心にした軽めの食事がおすすめです。夜勤中は、深夜に一度にたくさん食べるのではなく、軽食を数回に分けて摂ることで、血糖値の急激な変動を防ぎ、眠気やだるさを軽減できます。
カフェインは上手に使えば眠気対策になりますが、摂るタイミングを誤ると仮眠や帰宅後の睡眠を妨げてしまいます。
目安としては、夜勤開始後数時間以内にコーヒーやお茶などで適量を摂り、明け方近くになったらカフェインを控えるとよいでしょう。眠気覚ましにエナジードリンクを多用すると、心拍数の上昇や不安感を強めることがあり、依存につながるリスクもあるため、常用は避けた方が安心です。
勤務中のこまめな休憩とストレッチ
夜勤中は、忙しさのあまり「休憩らしい休憩」を取れないまま朝を迎えてしまうことがあります。
しかし、数分でも意識的に体と頭を休める時間を挟むことで、集中力や安全性が大きく変わります。特に、深夜帯に一度、明け方に一度、座って目を閉じるだけでも良いので、短い休憩時間を組み込むよう意識してみて下さい。
また、ナースステーション内や廊下の端などでできる簡単なストレッチも有効です。
首や肩、腰をゆっくり回す、ふくらはぎを伸ばす、深呼吸を数回行うといった軽い運動は、血行を促進し、眠気やだるさを和らげてくれます。ストレッチを習慣化することで、「ここまで頑張ったら一度体をほぐそう」と区切りを付けやすくなり、長時間の緊張状態から心身を解放しやすくなります。
タスク管理と情報整理で焦りを減らす
夜勤中の「常に追われている感覚」を減らすには、タスク管理と情報整理が重要です。
申し送りを受けたら、まずは自分なりの優先順位でリストアップし、「最初の1〜2時間で行うこと」「深夜帯に行うこと」「明け方までに終えればよいこと」に大まかに分けておきます。処置や検査、内服などの時間指定があるタスクは、タイマーやメモを活用して抜け漏れを防ぐと安心です。
また、急変時の対応手順や、よく使う薬剤の希釈方法など、不安の強い項目は、ポケットマニュアルや自作のメモとして携帯しておくと、いざという時に焦りを軽減できます。
「全てを完璧に覚えておかなくては」と思い込むとプレッシャーが増すため、「必要な情報にすぐアクセスできる状態を整えておく」ことを目標にすると、心理的な負担がかなり軽くなります。
メンタル面のケアとストレスマネジメント
夜勤のつらさは、身体的な疲労だけでなく、メンタル面への負荷も大きく関与しています。
プレッシャーや不安、怒りや無力感といった感情が蓄積すると、仕事への意欲が低下し、自己否定的な思考から抜け出せなくなることがあります。ここでは、看護師として夜勤を続けるうえで、心を守るためにできるセルフケアと、周囲のサポートの活用法について解説します。
感情を押し殺して働き続けることは、一見プロフェッショナルな態度に見えるかもしれませんが、長期的には燃え尽きやうつ症状のリスクを高めます。
自分の心の状態に気付き、早めにケアすることも、患者さんの安全と同じくらい大切な「プロとしての責任」と考えて下さい。
夜勤前の不安や憂うつ感への対処法
夜勤前になると、強い不安や憂うつ感に襲われる人は少なくありません。
出勤数時間前から動悸がしたり、胃が重くなったり、涙が出そうになったりする場合もあります。こうした症状に対しては、「不安を消そうとする」のではなく、「不安を和らげる」「付き合い方を変える」という発想が有効です。
具体的には、出勤前に深呼吸や軽いストレッチを行い、あえて意識的に体をゆるめる時間を作ります。
また、「今日の夜勤で自分ができること」を3つほど具体的に書き出し、「完璧にやる」ではなく「安全にやる」「必要な時は助けを求める」といった現実的な目標に置き換えると、プレッシャーが和らぎます。不安が強い場合は、信頼できる同僚や先輩に「今日ちょっと緊張しています」と一言伝えておくだけでも安心感が違います。
勤務後に気持ちを切り替えるためのルーティン
夜勤後に、仕事のことが頭から離れず、失敗やヒヤリハットを何度も思い返してしまう人も多くいます。
このような反芻思考が続くと、次の夜勤への恐怖感が強まり、眠りの質も低下してしまいます。そのため、「勤務終了の合図」としてのルーティンを持つことが有効です。
たとえば、ナース服から私服に着替える時に深呼吸を3回する、帰宅途中にコンビニで温かい飲み物を買う、シャワーの後に好きな香りのボディクリームを使うなど、日常の中でできるささやかな習慣で構いません。
ポイントは、「ここからは自分の時間に戻る」という意識を毎回リセットすることです。ルーティンを続けることで、脳が「今は休んでよい」と学習しやすくなります。
同僚・家族・専門家への相談を躊躇しない
夜勤のストレスを一人で抱え込むと、問題が実際以上に大きく感じられ、出口が見えづらくなります。
同じ現場で働く同僚は、同様のつらさを経験していることが多く、共感や具体的なアドバイスを得られる貴重な存在です。ちょっとした愚痴や不安を共有するだけでも、「自分だけではない」と感じられ、気持ちが軽くなることがあります。
家族には、夜勤の大変さや、どのように支えてもらえると助かるかを、具体的に伝えることが大切です。
「明けの日はできるだけ家事を減らしたい」「この時間帯は寝かせてほしい」など、遠慮せずに共有してみて下さい。また、強い不安や不眠、食欲不振が続く場合は、職場の産業医やメンタルヘルス相談窓口、医療機関のサポートを受けることも検討しましょう。専門家への相談は、決して特別なことではなく、自分と患者さんの安全を守るための重要な行動です。
勤務環境を調整して夜勤の負担を減らす方法

個人のセルフケアだけでは限界がある場合、勤務環境そのものを見直すことが必要になります。
シフトの組み方や夜勤の回数、担当業務の内容などは、職場のルールや文化に大きく影響されますが、何もかも諦める必要はありません。ここでは、現実的に取りうる勤務環境の調整方法と、上司とのコミュニケーションのコツについて解説します。
「どうせ変わらない」と最初から決めつけてしまうと、状況は固定されたままです。
一方で、言い方やタイミングを工夫しつつ相談を重ねていくことで、少しずつでも夜勤の負担を減らせるケースは少なくありません。自分の限界を正しく伝え、安全な医療提供につなげる視点で考えていきましょう。
シフト希望の出し方と連続夜勤のコントロール
夜勤のつらさは、シフトの組み方によっても大きく変わります。
連続夜勤が多すぎる、夜勤明けの休みが十分に取れない、日勤と夜勤の切り替えが急すぎるといった場合、心身の負担は増大します。可能であれば、シフト希望を出す際に、連続夜勤の上限や、明けの休みを確保したい希望日を明確に伝えるようにしましょう。
具体的には、「月に何回までなら夜勤を担えるか」「連続夜勤は何回までが限界か」「この曜日は家庭の事情で休みが欲しい」などを、理由とともに記載します。
ただ要求を並べるのではなく、「この範囲なら夜勤を継続できます」といった前向きな表現にすることで、師長や主任も調整しやすくなります。完全に希望通りにならないとしても、交渉を続けることで、徐々に無理のない働き方に近づけることができます。
部署異動や勤務形態変更という選択肢
夜勤の負担が大きすぎる場合、同じ病院内での部署異動や、勤務形態の変更を検討することも有効です。
例えば、急性期病棟から回復期・慢性期病棟、外来や透析室、手術室などに異動することで、夜勤の回数や内容が大きく変わることがあります。病院によっては、準夜勤や早出・遅出シフト中心の勤務形態を認めている場合もあります。
異動を希望する際は、「夜勤が嫌だから」という感情だけでなく、「現状の夜勤で心身にどのような影響が出ているか」「異動後にどのように貢献できるか」を整理して伝えることが重要です。
急な離職を避けたいと考える管理者にとっても、部署異動や勤務形態の変更は、人材を活かし続けるための現実的な手段です。早めに相談することで、選択肢が広がる可能性があります。
夜勤の少ない職場や働き方を知っておく
どうしても夜勤がつらい場合に備えて、夜勤が少ない、あるいはない職場や働き方の情報を持っておくことも安心材料になります。
代表的な例としては、クリニック外来、健診センター、訪問看護、企業内の健康管理部門、保育園や学校、介護施設などが挙げられます。これらの職場では、夜勤がない、もしくは頻度が少ないところが多く、生活リズムを整えやすい傾向があります。
もちろん、日勤のみの職場には別の大変さや責任があり、収入面で夜勤手当が減るといったデメリットもあります。
しかし、「今の病棟で夜勤を続けるか辞めるか」の二択だけでなく、「夜勤の少ない職場に移る」「非常勤で働き方を変える」などの選択肢を知っておくことで、気持ちに余裕が生まれます。転職情報サイトや説明会などを活用し、情報収集だけでも始めておくとよいでしょう。
夜勤と健康リスク 最新の知見から考えるセルフケア
夜勤は、睡眠不足や生活リズムの乱れを通じて、さまざまな健康リスクと関連することが報告されています。
ここでは、科学的な知見を踏まえつつ、極端に不安をあおることなく、現実的なセルフケアの方向性を整理します。リスクを正しく理解し、できる範囲で対策を取ることが、自分の健康とキャリアを守るうえで重要です。
ポイントは、「夜勤=必ず健康を害する」ではなく、「夜勤にはリスクがあるので、その分セルフケアと環境調整が必要」という捉え方をすることです。
罪悪感を抱いたり、自分を責めたりするのではなく、専門職として自分の健康にも責任を持つ姿勢が大切です。
夜勤が及ぼす心身への影響
夜勤や交代制勤務は、睡眠不足や体内時計の乱れを通じて、循環器疾患、消化器症状、肥満、糖代謝異常などのリスクを高める可能性が指摘されています。
また、慢性的な疲労やストレスは、抑うつ症状や不安障害の発症リスクとも関連するとされています。もちろん、個人差が大きく、夜勤をしている全ての人に必ず起こるわけではありませんが、一定の注意が必要です。
看護師の場合、夜勤による影響は、自分自身の健康だけでなく、患者安全にも直結します。
強い眠気や集中力低下は、投薬ミスや観察の見落としにつながるリスクがあります。その意味でも、自分の限界を把握し、無理なシフトを続けないことは、医療者としての責任ある行動と言えます。リスクをゼロにはできませんが、適切なセルフケアや勤務調整により、影響を軽減することは可能です。
食事・運動・睡眠のセルフケアのポイント
夜勤と上手く付き合うためには、食事・運動・睡眠という基本的な生活習慣を整えることが欠かせません。
食事については、夜勤前後に暴飲暴食や不規則な間食を繰り返すと、体重増加や胃腸トラブルを招きやすくなります。可能な範囲で、野菜やタンパク質をしっかり摂りつつ、揚げ物や糖分の多い食べ物の頻度を控えることが、体調維持につながります。
運動は、激しいものである必要はありません。
週に数回、20〜30分程度のウォーキングやストレッチを行うだけでも、ストレス軽減や睡眠の質の向上に効果が期待できます。睡眠については、夜勤で十分な時間が確保しにくい分、「眠る前のスマホ時間を短くする」「寝室を暗く静かな環境に整える」など、質を上げる工夫を取り入れてみて下さい。完璧を目指すより、「できることから一つずつ」が続けるコツです。
健康診断やメンタルチェックを活用する
看護師は患者さんの健康管理には敏感でも、自分の健康チェックは後回しになりがちです。
しかし、夜勤の影響を早期に察知するためには、定期的な健康診断やメンタルチェックを活用することが重要です。体重や血圧、血液検査の変化だけでなく、睡眠の質や気分の落ち込み、意欲の低下などの自覚症状にも注意を払いましょう。
職場で実施されるストレスチェックや面談の機会も、現状を客観的に振り返る良いきっかけになります。
結果をきちんと受け止め、必要に応じて勤務形態の見直しや専門機関の受診につなげることで、より長く安全に働き続けることができます。自分の体や心のサインを無視し続けるのではなく、「早めに気付き、早めに調整する」姿勢を大切にして下さい。
夜勤を辞める・続けるを比較検討する
夜勤が嫌すぎると感じたとき、「このまま続けて大丈夫だろうか」「夜勤なしの働き方に変えるべきか」と悩む方は多いです。
ここでは、夜勤を続ける場合と辞める場合、それぞれのメリット・デメリットを整理し、自分にとって納得できる選択をするための視点を提供します。どちらが正解というものではなく、自分の健康状態やライフプラン、価値観に合ったバランスを見つけることが大切です。
極端に「夜勤は悪」「夜勤なしが正義」と考える必要はありませんが、惰性で続けるのではなく、意識的に選択しているという感覚を持つことが、後悔を減らすことにつながります。
夜勤を続けるメリット・デメリット
夜勤を続ける主なメリットとしては、収入面とスキル面が挙げられます。
夜勤手当は、看護師の給与の中でも大きな割合を占めることが多く、将来の貯蓄やライフイベントの資金に直結します。また、夜間の急変対応や少人数でのチームワークを経験することで、臨床判断力や優先順位付けのスキルが磨かれ、自信につながる場合もあります。
一方で、前述の通り、睡眠や健康への影響、生活リズムの乱れ、家族との時間の減少などのデメリットがあります。
特に、加齢やライフステージの変化に伴い、以前は耐えられていた夜勤が急につらくなることも珍しくありません。「今の自分」にとっての負担を見極め、定期的に続行可能かどうかを見直すことが重要です。
夜勤を辞める・減らす場合のポイント
夜勤を完全に辞める、あるいは大幅に減らすことを検討する場合は、生活面とキャリア面の両方から考える必要があります。
まず生活面では、収入の変化をシミュレーションし、家計の見直しや副収入の検討なども含めた具体的なプランを立てておくと安心です。パートナーや家族と話し合い、協力体制を築いておくことも大切です。
キャリア面では、「夜勤なしの勤務でどのような経験やスキルを積めるか」を整理しておくと良いでしょう。
日勤のみの職場でも、慢性期ケア、予防医療、在宅支援など、今後重要性が高まる分野で専門性を深めることができます。夜勤を減らすことは、必ずしもキャリアの後退ではなく、「違う形での成長」と捉えることもできます。
自分に合った働き方を見つけるためのチェックポイント
夜勤を続けるか、辞めるかを迷っている場合は、次のような観点から自分の状況をチェックしてみて下さい。
| 項目 | 今の状態 |
|---|---|
| 夜勤後の回復に必要な日数 | 1日以内 / 2日以上かかる |
| 睡眠の質 | よく眠れている / 浅い・中途覚醒が多い |
| 体調の変化 | 大きな問題なし / 頭痛・胃痛・動悸などが続く |
| メンタルの状態 | 気分の波は許容範囲 / 憂うつや不安が長く続く |
| 家族・生活への影響 | 概ね両立できている / 大きな支障が出ている |
これらの項目で「問題あり」と感じる点が多いほど、夜勤の負担が限界に近づいている可能性が高くなります。
セルフケアやシフト調整で改善が見込めるか、それとも勤務形態の抜本的な見直しが必要かを、信頼できる上司や専門家と一緒に検討していくことをおすすめします。
まとめ
看護師が夜勤を「嫌すぎる」と感じるのは、決して珍しいことではありません。
睡眠リズムの乱れ、慢性的な疲労、夜間特有のプレッシャー、生活や家庭との両立、人間関係など、多くの要因が重なって心身に大きな負荷をかけます。大切なのは、そのつらさを我慢や根性だけで乗り切ろうとせず、具体的な原因を見極め、一つずつ対策を講じていく姿勢です。
本記事で紹介したように、夜勤前後の睡眠戦略や食事・カフェインのコントロール、勤務中のこまめな休憩やストレッチ、タスク管理の工夫、メンタルケア、勤務環境の調整など、実践できる乗り越え方は数多くあります。
それでもなお心身の限界を感じる場合には、部署異動や勤務形態の変更、夜勤の少ない職場への転職といった選択肢も、決して逃げではなく、自分と患者さんの安全を守るための前向きな決断と言えます。
夜勤とどのように付き合うかに、正解は一つではありません。
自分の健康状態やライフステージ、価値観を踏まえながら、小さな工夫と現実的な選択を積み重ねていくことが何より重要です。一人で抱え込まず、同僚や家族、専門家の力も借りながら、自分にとって無理のない働き方を模索していきましょう。